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中山 梓介; 岩本 修; 木村 敦
EPJ Web of Conferences, 294, p.07001_1 - 07001_6, 2024/04
溶融塩炉などの革新型原子炉の減速材として黒鉛の利用が考えられている。減速材による熱中性子の散乱は炉心設計に大きな影響を与える。革新型原子炉の開発に貢献するため、原子炉級黒鉛の熱中性子散乱則の評価を行った。格子振動に起因する非弾性散乱成分は、第一原理シミュレーションから求めたフォノン状態密度に基づいて評価した。シミュレーションは理想的な結晶黒鉛に対して行った。結晶構造に起因する干渉性弾性散乱成分は、J-PARC/MLF施設で実施された中性子透過実験および散乱実験に基づいて評価した。中性子透過実験との比較においては、空孔などの結晶よりも大きな構造に起因する中性子小角散乱の定量が重要であることがわかった。以上の方法に基づいて、原子炉級黒鉛の熱中性子散乱則データを評価した。
多田 健一
no journal, ,
核データから炉心計算までの全てを国産コードで取り扱うシステムを整備することを目的として、原子力機構では2013年度より、核データ処理システムFRENDY(FRom Evaluated Nuclear Data librarY to any application)の開発を進めている。本発表では、FRENDYの概要及び処理結果の妥当性検証について報告する。
多田 健一; 池原 正; 小野 道隆*; 東條 匡志*
no journal, ,
熱中性子散乱則の処理に注目し、FRENDYとNJOYの処理手法の違いについて調査し、NJOYに以下の問題点があることを特定した。(1)入力作成において高い専門性が必要で、公式なACEファイルでも適切に処理されていない場合がある、(2)作成されたACEファイルにはTHERMRで生成された全データが含まれている訳ではなく、入力した上限のエネルギー点未満のデータしか含まれない、(3)MCNP6.1では、iwt=2(ACERでの二次エネルギー分布に関するオプション)を用いて処理したACEファイルを用いると、計算が途中終了してしまう場合がある本発表ではこれらの問題点の概要とその解決策について説明する。
多田 健一
no journal, ,
原子力機構が開発している核データ処理コードFRENDYとLANLが開発しているNJOYの処理結果の比較から、NJOYの処理上の問題点を多数明らかにしてきた。本発表では、熱中性子散乱則の処理におけるNJOYの問題点について説明した。また、本発表では、FRENDYで誰もが簡単に適切な処理を実施するために新たに実装した入力値の検証機能や、最近の活動紹介として、多群断面積処理機能の実装などについても説明する。
中山 梓介; 岩本 修
no journal, ,
溶融塩炉や小型モジュール炉(SMR)では減速材として黒鉛やCaHの使用が検討されている。減速材の熱中性子散乱則は炉心設計に大きな影響を及ぼす。また、溶融塩中のK-39やSMRのヒートパイプ中のCu-63に対する(n,p), (n,a)といった荷電粒子放出反応は廃棄物管理上問題となる核種を生成し得る。そのため、これら革新炉の炉心設計をする上では、黒鉛やCaHの熱中性子散乱則ならびにK-39やCu-63の荷電粒子放出反応断面積に関する精度良いデータが重要になる。以上を踏まえ、これらのデータの評価手法の検討を進めているところである。本発表では、現在までの進捗状況について述べる。
多田 健一; 渡邉 友章; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
no journal, ,
様々な減速材温度におけるJENDL-5と他のライブラリのH in HOの熱中性子散乱則の影響の比較のため、PWRの単ピンセル体系を対象に、様々な減速材温度での評価済み核データライブラリ毎の無限増倍率を比較した。その結果、減速材温度によって従来の評価済み核データライブラリであるJENDL-4.0やENDF/B-VII.1とJENDL-5との差異が減速材温度によって異なることが分かった。この差異は減速材温度係数に影響を与える可能性がある。しかし、高温のH in HOの断面積や角度分布・二次エネルギー分布を対象とした実験データはほとんどないため、ライブラリの良し悪しを判断することは困難である。H in HOの熱中性子散乱則データの精度向上のためには、高温での実験データの取得が望まれる。
権 セロム*; 今野 力; 太田 雅之*; 佐藤 聡*
no journal, ,
ヨーロッパ核破砕中性子源ESSグループが整備した結晶粒径を考慮したBeの熱中性子散乱則データを用いてJAEA/FNSのBeベンチマーク実験及び核融合中性子源A-FNSの試験モジュールの核解析を行った。Beベンチマーク実験では、これまで低エネルギー中性子に感度を有する反応の反応率の計算値が実験値を大幅に過大評価していたが、Beの結晶粒径が大きくなるにつれて過大評価が減少することがわかった。A-FNS試験モジュールでは0.1eV以下の中性子束に影響が見られたが、A-FNSのように熱中性子束が小さい中性子場では、トリチウム生成率等への影響は小さいことがわかった。
中山 梓介; 岩本 修
no journal, ,
溶融塩炉や小型モジュール炉では減速材として黒鉛や水素化合物の使用が検討されている。減速材による熱中性子の散乱は炉心設計に大きな影響を及ぼす。また、溶融塩や構造材に含まれる物質に対する荷電粒子放出反応は、廃棄物管理上問題となる核種を生成し得る。そのため、こうした革新型原子炉開発においては、上述の物質に対する精度良い熱中性子散乱則や荷電粒子放出反応断面積のデータが重要になる。以上を踏まえ、原子力システム研究開発事業の「革新型原子炉開発のための核データ整備基盤の構築」プロジェクトにおいて、これらの核データを評価し、評価済み核データファイルとして整備した。これらの核データの評価手法について、概要を述べる。
木村 敦; 遠藤 駿典; 中村 詔司; Rovira Leveroni, G.
no journal, ,
原子力システム研究開発事業「革新型原子炉開発のための核データ整備基盤の構築」において、熱中性子散乱則データの整備目的に、革新型原子炉で用いられる黒鉛及び結晶性化合物等の断面積測定を進めている。本発表では、J-PARC物質・生命科学実験施設にて実施した、熱冷中性子に対する二重微分散乱断面積および中性子全断面積の測定結果について報告する。
原田 善成*; 山口 響*; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*; 多田 健一
no journal, ,
核計算における軽水の熱中性子散乱則(TSL)データ起因の不確かさを低減するために、水槽体系の即発中性子減衰定数を用いたデータ同化を実施した。決定論的サンプリング法に基づくバイアス因子法を利用することで、核特性間に軽水のTSLデータを介した強い相関がある場合には、軽水のTSLデータに起因した実効増倍率の不確かさを低減できることを明らかにした。